「自主検査」は、あと施工アンカー現場責任者があと施工アンカー施工者と共に行う検査であり、
必要に応じて監理者や施工責任者が立ち会う場合もあります。
従って、立会検査の時期に応じて自主検査を行い、非破壊引張試験が行われることもあります。
[自主検査の時期]
施工確認のための自主検査は、一般には相当数のあと施工アンカーの施工終了後に、1ロット毎に行うか、工事完了後に行います。
検査回数の単位となる1ロットは、アンカー種類、径、施工本数、施工場所(同一場所、複数場所)、施工向き、施工時期(1日、複数日)、施工者(1班、複数班)等を総合的に判断して、現場責任者は、施工責任者や施工者とも相談して決定します。
[自主検査項目]
自主検査方法には、目視検査、接触検査、接触打音検査および計測検査があり、必要に応じて行われる非破壊引張試験があります。
自主検査で、管理者が実施する立会検査に先立って、非破壊引張試験を行う場合は、立会検査に準拠して行います。
なお、非破壊試験において、せん断試験を現場で行うこともありますが、極端にへりあきが無い場合を除いて、せん断特性も引張試験結果を代表特性として判別できるので、一般に引張試験が実施されます。
検査項目 | 検査時期 | 判定基準 | 確認方法 | 検査数 |
---|---|---|---|---|
目視検査 | 1ロット毎または当日 の施工終了後または工 事完了後 |
アンカー種類、径、施 工位置、本数、角度、 出寸法または入寸法 が、施工確認シートと 合致すること |
・母材からの出寸法(出 代;おねじタイプ)ま たは入寸法(入り代; めねじタイプ)が確保 されていること ・アンカー本数が確保 されていること ・アンカーの種類、径、 施工位置、角度(おね じタイプ)に異常がな いこと |
全数 |
接触打音検査 (おねじタイプ) |
・ガタツキがないこと ・特異音がなく、適度 の反発と反発音がある こと |
・手で触れて動かして も、動かないこと ・ハンマー等を用いて 軽くたたき、異常な反 発と反発音がないこと |
||
計測検査 | アンカー径、施工位置、 角度、出寸法または入 寸法が、施工計画書お よび施工確認シートと 合致すること |
計測器などを用いて計 測し、施工計画書(設 計図)および施工確認 シートと照合すること |
適宜 | |
非破壊検査 | 1ロット毎 (または工事完了後) |
引張試験で過大な抜け 出しが無く、所定の強 度を有すること |
(本数や回数は、立会検 査に準じる) |
必要に応じて |
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[補足]
検査項目 | 検査時期 | 判定基準 | 確認方法 | 検査数 |
---|---|---|---|---|
目視検査 | 硬化養生後において、 1ロット毎または工事 完了後 |
・接着剤が母材表面に 達していること ・アンカー種類、径、 施工位置、本数、角度、 出寸法(埋込み寸法) が、施工計画書および 施工確認シートと合致 すること |
・接着剤が施工面に充 填されていること ・アンカー筋のマーキ ングが施工面に達して いること ・母材からの出寸法(出 代)が確保されている こと ・アンカー本数が確保 されていること ・アンカーの種類、径、 施工位置、角度に異常 がないこと |
全数 |
接触打音検査 | ・ガタツキがないこと ・特異音がなく、適度 の反発と反発音がある こと |
・手で触れて動かして も、接着剤が硬化して おり、動かないこと ・ハンマー等を用いて 軽くたたき、異常な反 発と反発音がないこと |
||
計測検査 | アンカー径、施工位置、 角度、出寸法が、施工 計画書および施工確認 シートと合致すること |
計測器などを用いて計 測し、施工計画書(設 計図)および施工確認 シートと照合すること |
適宜 | |
非破壊検査 | 1ロット毎 (または工事完了後) |
引張試験で過大な抜け 出しが無く、所定の強 度を有すること |
(本数や回数は、立会検 査に準じる) |
必要に応じて |
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[非破壊引張試験]
監理者は、性能確認検査として非破壊引張試験を行い、予め定められた検査荷重まで加力し、抜け出しがないことを確認します。
検査荷重および検査数は監理者の指示または承認によります。
検査・試験法(検査荷重例) | 判定基準 | 検査回数と検査数の例 |
---|---|---|
非破壊検査(非破壊引張試験) 検査荷重例;許容引張荷重または終 局引張荷重の2/3まで加力 |
検査荷重まで急激な抜け出し等の過大な 変位がないこと |
1ロット※1毎に3本以上 |
※1 管理者は、監理者や施工責任者とも相談して試験回数(1ロット)を決定します。
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一般には、加力は許容引張荷重または設計荷重、耐震補強工事の場合には予想破壊荷重(終局引張荷重)の2/3を検査荷重とし、この荷重に対してアンカーの急激な抜け出しやコンクリート表面のひび割れが生じない場合を合格とします。
また、非破壊引張試験の試験数は3本以上とします。
引張試験用の試験装置には、油圧ジャッキを用いてアンカーに直接引張力を加えるタイプ(油圧式)とアンカーのねじ部にナットを嵌め、ナットを回転させてアンカーに引張力を生じさせるタイプ(レンチ式)の二つのタイプが一般的に用いられているが、いずれも定期的に校正された測定を使用します。
管理者は、立会検査の回数(1ロット)と時期について、監理者や施工責任者とも協議して決定します。
検査回数の単位となる1ロットは、アンカー種類、径、施工本数、施工場所(同一場所、複数場所)、施工向き、施工時期(1日、複数日)および施工者(1班、複数班)等が関係してきます。また、検査本数は、構造物の重要度や工事内容によっても変わってきます。
不合格が生じた場合、管理者は、その原因特定と再発防止対策について施工責任者と協議するとともに、必要に応じて追加の検査を実施する等を行い、ロットの受入れ方針を総合的に判定します。
さらに、判定した受入れ方針について、監理者と協議し、承認を得て、ロットを受け入れます。
また、不合格となったアンカーは、監理者の承認のもとに補修します。一般的には、アンカーを切断して除去したうえで抜け出した箇所の補修工事を施してアンカーを再施工します。
[不合格時の追加検査例]