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ボルトの締め付け管理値確認試験

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まえがき

本工事において、ゆるみ止めナットの締め付け管理を行うことが特記仕様書に記載されている事を受けどのように締め付け管理を実施したら作業効率を失わずに管理出来るか、また特記仕様書の締付け基準値がトルク管理による締め付け方法で満足出来るかどうかを試験をして管理方法を設定することを目的とする。

M16以上のボルトについては、トルクを設定し締め付ける工具があるがM16未満のボルトの締め付け工具は無いに等しい。試験した結果をふまえM16以下の締め付けをどのようにしたら管理出来るかを、予備試験を行い実験結果をまとめた。

1.特記仕様書施工管理基準値

施工管理

ゆるみ止めナットの締め付けは、次の基準により施工管理を行うものとし、施工計画書に締め付け方法及びトルク管理方法などの管理方法について記載するものとする。

確認方法 増締めトルク法(施工後に再締め付けを行い、ボルトが回り始める時のトルク値を確認)
管理基準 (1)シングルナットタイプの場合
下限値はメーカーの参考締め付けトルク値の90%とし、上限値は使用するボルト耐力の90%相当のトルク値とする。なお、上限値の算定式は次のとおりとする。

 

Tf=K・Ff・d
Tf:締め付けトルク(N・m)
K:トルク係数
Ff:軸力(N)=耐力(N/mm2)×有効断面積(mm2)×f
※f(安全率): 0.9
d:ねじの呼び径(m)

(参考値)
材質 SS400 (HDZ35) SUS304
トルク係数 0.5 0.25

(2)ダブルナットタイプの場合
ナット同士のくさび効果等によりゆるみ止め機能が発揮されるものについては、メーカーの参考締め付けトルクの下限値からボルト耐力の90%相当のトルク値(上限値)とする。
なお、上限値の算定式は、シングルナットタイプの場合と同様とする。

トルク算定式 Tf = K ・ Ff ・ d は JIS B 1083 4 ねじ締付けの基礎4.1 トルクと締付け力との関係よりの算定式と思われる。しかし 1. 適用範囲には「タッピンねじ類並びに特別な戻り機能を付与したねじ部品の締付けに対しては適用出来ない」ともある。また、同5.2 トルク法締付け5.2.1 トルク法の特徴のなかに「締め付けトルクの90%前後はねじ面及び座面の摩擦によって消費される。締め付け作業時の摩擦特性の管理の程度によっておおきく変化する」とあり管理の難しさを示している。

トルク法によるボルト締め付け管理は、特殊な締め付け用具を必用としない作業性に優れた簡便な管理方法ではあるが、条件次第で大きくばらつきが生じることも示唆しており、またトルク係数値の設定により大きく変化変動する。算定式中トルク係数以外はほぼ定数であり、トルク係数設定によっては締め付けトルク値が大きく変化する。

2.試験項目

1.締め付けトルク値と軸力の相関関係の調査実験

a) 本工事のボルト孔径を試作した部材においてボルトを締め付け、締め付けトルクとボルト軸力を測定し、相関関係のグラフを作成する。ボルトサイズを数種類想定し、ばらつき等も測定する。

b) 試験試料
M8, M10, M12, M16 について L=20mm, 30mm,40mm 程度までの試料により試験する。
(ナットはゆるみ止めナットを使用し ワッシャーは大ワッシャーを使用する)
材質は SS400(HDZ35)及び SUS304 それぞれにて試験する。

c) 試験器具
トルクレンチ・軸力計等  (試験機の性能等を調査し選定する)

2.M12以下のボルト締め付け工具の開発選定

現時点では M12以下のボルト締め付け工具でトルク値を設定出来る工具が実用化されていないため、無音(電動工具で考える)で作業出来る工具の調査・選定・開発をする。


3.実施した試験の流れ

  1. 1.普通ボルトの締付トルク値の設定
    現在広く使用されているボルトを対象に 締付トルク値の設定
  2. 2.試験ジグの作成
    各ボルトサイズの各ボルト孔サイズを有したジグの作成
  3. 3.従来の締付トルク測定
    従来使用されているインパクトレンチの締付トルク値を測定して
    従来どの程度の締付トルクで締め付けられているかの測定
  4. 4.各ボルトの耐力までの締付トルクと軸力の測定
    ボルト耐力までの締付トルクと軸力の相関関係を測定(測定データ1)
  5. 5.ボルトの耐力・引っ張り強度の測定
    ボルトの耐力・引っ張り強度がJIS規定強度以上が満足しているかを測定(測定データ2)
  6. 6.各ボルトの耐力までの締付強度の測定
    ボルト耐力までの軸力と締付トルクの相関関係を測定すると共に
    ばらつき程度の把握(測定データ3)
  7. 7.各ボルトの耐力までの締付トルクと軸力の測定(表面処理方法による差異の測定)
    ボルト耐力までの軸力と締付トルクの相関関係を測定すると共に
    ナットの表面処理状況(潤滑剤等)による差異の測定(測定データ4)
  8. 8.各ボルトの耐力までの締付トルクと軸力の測定(ボルト位置による差異の測定)
    ボルト耐力までの軸力と締付トルクの相関関係を測定すると共に
    長孔ボルト孔位置による差異の測定(測定データ5)
  9. 9.ボルト・ゆるみ止めナットの振動試験を行う
    ボルト・ゆるみ止めナットの振動試験を行い、
    ゆるみ止め効果の得られる締付トルク下限値の確認(測定データ6)

 


4.測定データ集

1.普通ボルトの締付トルク値の設定

締付トルク値設定に関しての文献等をふまえて設定したが、様々な考え方があり今回の工事にもっとも適していると思われる設定をした。様々な文献にもあるように設定については状況に合わせて設定する事が望ましい。言い換えれば現場現状に合わせた状況のもとに試験をし結果に基づいて締付トルクを設定することが、もっとも現実的な設定方法と考える。机上での条件設定には限界を感じる。


2.試験ジグの作成

第二京阪道路設計図面をもとに使用されるボルトのボルト孔を有したジグを作成した。
なお、JIS B 1083 ネジの締付通則 5.2.1 トルク法の特徴の中の「締付トルクの90%前後はねじ面及び座面の摩擦によって消費される」と言う事から、ジグの板厚の影響及びボルトの長さの影響は極めて小さいと思われることからジグの板厚及びボルトの長さによる影響は無視することとした。

ジグ製作図面

ジグ製作図面

ジグ写真

ジグ写真

3.従来の締付トルク測定

従来のボルト締付は明確な基準もなく「堅固に締める」等と曖昧な表現と共に管理もされておらず、職人による経験のみの締付に頼っていた。

従来より締付に使用されているインパクトレンチの締付トルクはカタログによると60~150N・m程度、おおむね100N・m前後で締め付けられていたのではと思われ、ボルト径の小さいものは職人の感覚で多少は調整し締め付けられていたのではないかと思われる。今回の締付管理のトルク値と比較してみると過度に締付がなされていたのではないかと思われる。

従来使用インパクトレンチ同等品参考カタログ

http://www.makita.co.jp/
http://www.hitachi-koki.co.jp/
http://panasonic.jp/powertool/

4.各ボルトの耐力までの締付トルクと軸力の測定・・・測定データ1

M12溶融亜鉛メッキボルトとSUS304ステンレスボルトの締付軸力と締付トルクの相関関係試験の結果のグラフを下記に示す。

M12 SS400ボルトの引張り強さ
≒ 420N/mm2 * 84.3mm2
≒ 35406N = 35.4KN

締付軸力 max≒25.80KN   計算締付トルク値 max≒74.3N・m

締付軸力 min≒20.06KN   計算締付トルク値 min≒43.3N・m

試験結果より

・軸力が設計値より低い値で切断傾向が現れた。
・軸力・トルク値の関係がほぼ直線的に増加した。
・計算締付トルク値では軸力が半分以下であった。

試験結果からの考察

・SS材は引張り強さと伸びとがほぼ直線的に増すことから軸力とトルクの関係も直線的に増すと考えられる。
・軸力が設計値より低い値で切断傾向があわられた原因としては

1・強度区分4.8のボルトをメッキ加工しておりメッキ加工による強度低下を考慮しなければならないのではと考えられる。
2・締付試験時、ネジ部等が摩擦により熱を発生するため、その分強度低下が生じると思われる。
3・ボルト等の引張り試験は検体に軸力向に荷重を掛けるが、今回の試験は締付け回転力(捻れ力)も加わっておりその分強度低下になったのではと考えられる。

各ボルトの耐力までの締付トルクと軸力の測定・・・測定データ1の2

M10 SUSボルトの引張強さ
≒ 500N/mm2 * 58.0mm2
≒ 29000N = 29.0KN

締付軸力 max≒11.0KN   計算締付トルク値 max≒27.4N・m

締付軸力 min≒8.53KN   計算締付トルク値 min≒16.0N・m

試験結果より

・軸力が設計値より低い値で切断傾向が現れた。
・M10 SUSの引張強=500×58.0=29000 29kN。
計算では70%程度の耐力であった。
・軸力・トルク値の関係が曲線的に増加した。
・メッキボルトよりSUSボルトの方がばらつきが少なかった。

試験結果からの考察

・SUS材は軸力とトルク値の増加率が一定ではない結果になった。
・軸力が設計値より低い値で切断傾向があわられた原因としては

1・締付試験時、ネジ部等が摩擦により熱を発生するため、その分強度低下が生じると思われる。
2・ボルト等の引張り試験は検体に軸方向に荷重を掛けるが、今回の試験は締付け回転力(捻れ力)も加わっており、その分強度低下になったのではと考えられる。

・ばらつきが少ない理由としては素材加工ボルトであり、メッキ加工による品質のばらつきが無い分、SUSボルトのばらつきが少ないと考えられる。

5.ボルトの耐力・引っ張り強度の測定・・・測定データ2

4の試験を受けてボルトの耐力・引っ張り強度がJIS規定強度以上が満足しているかの確認試験をした。


試験ボルト写真


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